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【書評】夢を売る男/百田 尚樹

 

夢を売る男

夢を売る男

 

 概要

 「永遠の0」の百田尚樹の作品。問題作と言われたりもしています。帯の煽り文句も印象的です。「百田尚樹、大暴走」とか「作家志望は読んではいけない」とか。

 

おすすめポイント

 いろいろと考える余地がある作品であり、僕は読んでよかったなと思いました。主人公の牛河原が強烈な持論を展開しますが、それについてみなさんはどう考えるでしょうか。

 

感想

 主人公の牛河原が掟破りな編集者として描かれれ、勤めている出版社自体も掟破りなわけです。現実にはありえないだろうと思いつつも、一理あるなぁと思ってしまうわけです。そこが「作家志望は読んではいけない」と帯で煽ったり、作家志望のひとが心地よく読めないところだと思います。

 はじめの1章、2章あたりはかなり衝撃を受けましたし、牛河原はとんだくそやろうだなと思いました。これは最後に彼が痛い目を見て終わるフラグかなと思いました。

 でも途中からだんだん見る目が変わっていきます。そこが面白いところです。教育ママを描いた章あたりでしょうか。呪いから解き放ってやるんだよみたいなコトバ。妙に納得して、牛河原を見直していきました。

 そしてラストシーン。ここまで来ると、どのようなラストで締めるかまったくわかりません。そして最後のページをめくります。

 「そっちか!!」ってなりました。みなさんはどうだったでしょうか。僕が心に浮かんだ言葉は「そっちか!!」でした。

 結局、牛河原の持論が正しいのか否か。作者も明確に答えは示していません。文学とは、自己表現とはなにか、と考えてしまいますね。

 どこまでがホントなのか分からないですけど、出版業界の裏事情に関する記述がたくさんあっておもしろいです。100万部売れたらいったい印税はいくらなんだろうって、夢を売る男を読んだあとには考えてしまいますね。

 

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