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本と本の意外な「つながり」ってありますよね

【書評】完全なる首長竜の日/乾 緑郎

 

【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

 概要

 第9回「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作です。『リアル〜完全なる首長竜の日〜』として映画化されました。佐藤健綾瀬はるかのW主演作として話題になりました。

おすすめポイント

 すごい作品でした。現実の世界と夢の世界をいったりきたりしながら話が進むのですが、今どちらの世界にいるのかどんどんわからなくなっていきます。嵐のような混乱が襲ってくるような感じです。

感想

 ラストが衝撃的でした。現実と夢をいったりきたりしながらも、ラストに向けて話がどんどん収束していっていたように見えたのに。

 よくよく考えてみれば不自然なところはたくさんあったのだろうと思います。伏線というほどのものではないにしても、いろいろなことを暗示していたんだなぁと。杉山さんとの子どもとか。怖い怖い。

 しかし、何を暗示しているのかわからないものも多かったです。タイトルにもある、プレシオサウルスが何を象徴しているのかは分からなかったのが悔しいです。完全なる首長竜は壊された・・・とは。バナナフィッシュの話もいまいちピンときませんでした。

 もうちょっと考えて読めばよかったかな。「このミス」の本ですし、心して読んだらもっと楽しかったかもしれないです。それぞれの要素がなにを示しているのかを考えながら読むと楽しいかもしれませんね。

 ラストがあのような形で締められているわけですし、絶対的な真実は用意されていないような気がします。結局なんだったの?って考えることはちょっと不毛なことのような。