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【情熱の演奏シーンとどんでん返し】さよらなドビュッシー/中山 七里

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

 

概要

 2009年の「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作です。僕は知らなかったのですが、ドビュッシーとは作曲家の名前です。つまり音楽を題材にしたミステリーです。

おすすめポイント

 初めて音楽の小説を読んだからかもしれないですが、とにかく演奏シーンがすごいです。圧倒されました。引き込まれました。文字だけで音楽を表現するってすごいことですよね。しかも素人の僕をここまで興奮させるなんて。

感想

 音楽を題材にした小説を読むのは初めてでした。ドビュッシーってクラシックをやってる人にとっては有名なのでしょうか?全然聞いたことなくて、タイトルを見るだけでは何のお話か分からなかったです・・。

 「このミステリーがすごい!」の大賞作品だということを忘れてしまうぐらい、演奏シーンには引き込まれました。でも、そこで引き込まれすぎると、僕みたいにまんまとやられると思います。この作品はミステリーなのです。

 「このミス」の作品に無駄な描写なんてないんだなぁと改めて思い知らされました。途中でふと、「このまま終わるわけないよなぁ」と思えただけましでしょうか。「あの描写はなんだったんだ?」って一瞬感じたのです。感じただけで、結末が予想できたわけはありません。見事にやられました。

 主人公が苦難を乗り越えて、ひたむきにピアノに打ち込む姿は、つい応援したくなります。自分もがんばろうって思えます。まるでスポーツを題材にした小説を読んでいるかのようです。しかし、それと同時にどんでん返しのミステリーも楽しめます。二重に楽しめる作品という感じでしょうか。すごい作品です。