【ファンタジー×本格ミステリ】折れた竜骨/米澤 穂信
概要
推理作家協会賞を受賞したミステリ作品です。ミステリの賞を獲っているのですが、ファンタジーの世界が舞台になっている作品です。そのギャップに興味をひかれたので読みました。米沢さんの作品はあまり読んでいないのですが、ミステリ作家として有名ですよね。
おすすめポイント
賞を獲ったのですから、ミステリーとしては当然本格的であり一級品です。緻密に組み上げられています。それでいて世界観は心躍るファンタジーなのです。その2つをどちらも楽しめる欲張りな作品です。
感想
魔法が使われることが当たり前に描かれていながら「理詰めで謎が解明される」と途中で宣言されます。「魔法でうやむやにすることは絶対にしないから、解けるものなら解いてみろ」という感じでしょうか。こんなタイプのミステリは初めてでした。
上巻ではたくさん伏線が張られていくのが分かるのですが、それがどういう結末に繋がるかはまったくわかりません。むしろ、久々に剣と魔法のファンタジックな物語を読んだので、そちらをたっぷりと楽しんでしまっています。
下巻は謎解きの場面が中心です。「ここまでで謎解きの材料がすべて集まった」と線が引かれる場面があります。ミステリが好きな人にとってはうれしいのではないでしょうか。上巻まで引っ張り出してきて、推理をすることもできると思います。僕は解けるわけないだろうと思って諦める派ですが。
きれいに理論立てて物語が組みあがっているのだなぁと驚きます。そして当然、謎解きは一筋縄ではいきません。そして謎を解いて終わりでもないです。薄々こうではないかと思っていたこともあれば、まったく予想外のこともあり、最後までホントに楽しんで読めました。
中世の騎士の世界ってかっこいいですね。ファンタジーもホントに久しぶりで、ハリーポッター以来かなぁなんて考えていました。ファンタジーをひさびさに読みたいなぁって人にもすごくおススメです。