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【書評】イニシエーション・ラブ/乾 くるみ

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

 

概要

「読み終わった後は必ずもう一度読み返したくなる」と銘打たれた作品です。恋愛小説なのですが、傑作ミステリーとの紹介があります。

おすすめポイント

最後の2行ですべてが覆る驚愕のトリックが仕掛けられています。好き嫌いがあるかと思いますが、僕は驚きましたし、すごいなぁと関心しました。売れているのにはわけがあると思う派です。

感想

 傑作ミステリーと紹介があります。だから何らかの謎が現れるということですし、それまでの物語は伏線になるだろうと思って注意して読んでいました。しかし一向にミステリー色が出てきません。「ただの恋愛ものじゃん」と少し退屈気味に読んでいました・・・

 

 

 ・・・最後の2行を読むまでは。この2行にたどり着いた瞬間は何が起きたか分からなくて目を疑ってしまいました。注意して読んでいたつもりだったのですが全くわけが分からない・・。

 解説のおかげで助かりました。解説を読んでから本文をさっと再読してようやく大雑把につかめました。こういうトリックを使った作品ってたくさんあるのかもしれませんが、僕は初めてでした。まんまとやられました。

 「つまらない」とか「くだらない」と感じる方もいるかもしれませんが、僕はただただ作家さんの構成力や文章力に驚きでした。すごいなぁと思います。ストーリー自体は誰もが経験する恋愛を描いていて、感動と言うよりも共感するところが多かったです。ストーリーよりもトリックが本命って感じでしょうか。

 こういう作品をたくさん読んでいると、小説を疑いながら読んでしまいそうだと思ってしまいました。たまに読む程度にしておこうと思いました。たまに読むようにすれば、すかっとだまされそうです。