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【自分は特別じゃない】光待つ場所へ/辻村 深月

光待つ場所へ (講談社文庫)

光待つ場所へ (講談社文庫)

 

概要

 4つの物語を収めた短篇集。どの短編も出版されている辻村さんの長編作品のスピンオフになっているようですが、まったく読んでいない僕にも楽しました。

おすすめポイント

  「自分は人とは違う何かを持っている」と密かに思っていたあの頃。それが幻想だったと知ってしまうあの瞬間。言葉にならないような微妙な気持ちが見事に表現されてしまっていて、いろんな人のいろんな言葉に共感します。

感想

 「ツナグ」で辻村さんの作品を読んで以来2作目です。その間に直木賞を受賞されましたね。「ツナグ」も感動しましたが、こちらもすごくよかったです。どの短編も関係ないバラバラな世界を書いているようで、底を流れるテーマは同じだったのかなと思います。

 

①しあわせのこみち

 いわゆる天才が周りの人とどう付き合っているか。天才であるがゆえにあきらめなきゃいけないこともある。それをわかろうとする主人公が描かれます。頭の作品ですが、これがいちばん好きです。さわやかですが、深いものを感じるお話でした。

 『人の悲しみや怒りに同調することは、たぶん簡単にできる。でもね、相手が幸せになったとき、それを心から喜ぶのはすごく難しい』『私は天才じゃないけど、天才のことがわかる秀才ではあるのよ。世の中には、それすらわからなくて、ひたすら負け惜しみを言ったり、見下げたりする輩がたくさんいる』

 メモしておきたい言葉がたくさん投げかけられる作品でした。

 

アスファルト

 主人公にすごく共感できたお話。外国にいるときの気持ちはよくわかりませんでしたが、元カノを思う気持ちとかは刺さります。周りと仲良くやっているように見えて、実は一人が好きだったりする主人公。すごい共感しました。


③チハラトーコの物語

 自分と重なるものがあまりなくて、ちょっとイメージしづらいお話でした。


樹氷の街

 誰もが経験するであろう、合唱コンクールでの一コマ。すごくなつかしい気分になります。

 天才とそうじゃない人。どちらもいろんな思いを抱えて、コンクールが迫ってくる。短編の最後にふさわしい、じんと来る終わり方でした。

 

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