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本と本の意外な「つながり」ってありますよね

【圧倒的さわやかさ】小暮写眞館/宮部 みゆき

小暮写眞館(上) (講談社文庫)

小暮写眞館(上) (講談社文庫)

 
小暮写眞館(下) (講談社文庫)

小暮写眞館(下) (講談社文庫)

 

 概要

 心霊写真がテーマですが、ホラーな要素はほとんどありません。爽やかな長編小説です。

おすすめポイント

 とにかくさわやかなお話でした。登場人物はそれぞれ未解決のなにかを抱えて生きていて、それぞれの人がそのなにかと向き合っていく様子がさわやかに書かれています。

感想

 久しぶりに宮部さんの本を読みました。大好きな作家さんの一人です。

 長いお話でしたが、飽きることなく読めました。ワンパターンに心霊写真の謎を解決していくのではなく、いろんな出来事が起こり、絡み合って進んでいきます。だから恐ろしい犯罪とかがなくても、続きが気になってしまいました。

 現実に起こりそうなことだけを描いているのに、こんなに感動するお話にしてしまう。宮部さんはやっぱりすごいなぁと思わされる作品でした。ピカちゃんが打ち明けるシーンで思わず泣いてしまいました。

 愉快な登場人物たちは、すぐに特徴をつかめるように書かれています。やりとりが目に浮かぶようです。これもすごい技術ですよね。中でも不動産屋の社長が好きです。垣本さんを温かく見守るまなざしが想像されます。

 垣本さんを美人としてイメージしていなかったのが、個人的にミスでしたね・・。