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【圧倒的疾走感】グレイヴディッガー/高野和明

グレイヴディッガー (講談社文庫)

グレイヴディッガー (講談社文庫)

 

 概要

 「ジェノサイド」で一躍有名になった高野和明さんの作品です。大量殺人鬼からの決死の逃走を図ることになってしまった主人公の一夜の激闘が描かれます。

おすすめポイント

 とにかく疾走感がものすごいです。物語が走りだしたと思ったらそこからラストまで一直線でした。物語に没頭したい人におすすめです。

感想

 とんでもなくスリリングで息を継ぐ暇がありませんでした。続きを読みたい、というよりは続きを読まなければ落ち着かないと思ってしまうぐらい、物語が途切れることなく突っ走っていきます。

 主人公の夜神が本当に良いキャラをしています。悪党だけど、人生を悔い改めようと骨髄ドナーになろうとしている。いいやつですね。言動の端々からも、本物の悪人ではないことが伝わってきます。主人公に親しみがもてるということがこの作品の面白さを引き出すポイントになっていると思います。ただ単に恐ろしい殺人鬼から逃げるだけの物語では、ここまでの面白さを感じることはできないのではないでしょうか。 

 ストーリーの軸である「グレイヴディッガー伝説」は、なんと作者の作り話だそうです。とても驚きました。何がすごいかというと、実際に語り継がれてきたかのような胡散臭ささえ感じてしまうことですね。「ジェノサイド」の中でも、物語を突き動かす原動力となるものを高野さんは嘘っぱちで作ってしまいました。それがまったく違和感なく設定されているのです。これは並大抵のことではないですよね。

 そして他の高野さんの作品と同じように、「正義とはなにか」というテーマを感じさせる物語でもありました。面白くて、さらに考えさせられる。「13階段」や「幽霊人命救助隊」もそんなお話でした。

 

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