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本と本の意外な「つながり」ってありますよね

【無意識に目を向けよ】バカの壁/養老孟司

バカの壁 (新潮新書)

バカの壁 (新潮新書)

 

概要

 2003年に出版されました。誰もが知っている新書の1つかもしれません。作者の養老孟司さんはたくさんの本を書いていますが、もともとは解剖学者。この本では脳の働きが話の中心に据えられています。

おすすめポイント

 根底に流れるテーマは1つですが、いろいろなことに触れられています。自分の実生活に繋がるものから「バカの壁」を実感できると思います。

感想

 タイトルから想像していた内容とはちょっと違いました。賢い人とそうではないひとの間に「壁」がある、みたいな内容だと勝手に想像していました。そんな内容でベストセラーになるわけないですよね・・・。

 『人間というものは、結局自分の脳に入ることしか理解できない』これが養老さんの言う「壁」の正体でした。すごく納得出来る理論です。しかしそれ以上に、意識に対する無意識や、心に対する体など、普段考えていないものに目を向けるべきだ、との考えに目からうろこが落ちました。

 例えば、僕は寝ている時間がもったないなぁと思っています。寝なくて済むのなら、ずっと寝ずに遊んでいたいです。しかし養老さんはこの考えは間違っていると言っています。『なぜ寝ている時間がもったないのか。寝ている暇をもったいないと思うのか。それは無意識を人生の中から排除してしまっているからです。』とあります。無意識に目を向けていないから、寝ている時間を無駄だと感じてしまう。無意識に目を向けるならば、寝ている自分も自分なのであって、その間にも自分の中では変化が起きていることを考えなければならないのですね。

 いろいろなことを縦横無尽にぶった切る、という印象です。どんな事柄も、養老さんの中では1つにつながっているかのようです。すごいお方です。逆に言うと、さまざまなことが論じられているせいで、漠然と読み終わることになってしまうかもしれませんね。きちんと再読したい1冊です。