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本と本の意外な「つながり」ってありますよね

【女の格差】ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。/辻村深月

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

 

概要

 「幼なじみが母親を殺して逃げている・・。」という衝撃的な始まりの物語。辻村さんがインタビューで、この作品のテーマは「女の格差」だとおっしゃっていたそうです。直木賞の候補にもなった作品です。

おすすめポイント

 とにかく「女」という生き物の生態に驚くばかりです。やはり男性とは違う・・・。なんだか、知ってはいけないものを知ったような気分になります。僕も年を重ねる毎にわかるようになっていくのでしょうか。女性なら共感する部分も多いのかもしれません。

感想

 辻村さんの本は「ツナグ」「光待つ場所へ」に続き3冊目。どちらも共感できるポイントの多い作品でした。

 そしてこの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」は徹底的に描かれる「女」というものにかなり衝撃を受けました。男性は申し訳程度にしか出てきませんし、完全に蚊帳の外といった感じでした。大地君は完全に悪者扱いでしたね。

 最後まで気の抜けないミステリーでドキドキします。しかし何と言っても、心に残るのは様々な女性どうしの関係でした。友達同士、母と娘、偶然出会ったものどうしの関係もありました。男だから共感できなかったところもありましたが、なんとなく感じ取れるものもありました。

 チエミのような存在は珍しいとは思いますが、まわりにまったくいないわけではないはず。大事に大事に育てられてきたのがにじみ出ている女の子。そしてその子に白い目を向ける周りの人間の気持ちも、僕は共感できなくもないです。それはものすごく微妙な感覚だと思います。しかしそれを軽々と伝えてしまう辻村さんは本当にすごい。チエミがどのような存在であるかが読者に伝わらなければ、この作品で書きたかったものが伝わらないも同然ですから。

 しかし、チエミ本人に共感することは難しいです。僕はそういう家庭ではなかったから。多くの登場人物も、チエミに理解を示しません。そんな中で、懸命にチエミを探すみずほの姿がより一層際立ちます。さまざまなしがらみを超越した、親友というものなのでしょうか。なんだかジーンときます。

 そして大人の女性たちの建前を取っ払った「本音」が聞けてしまうのもよかったです。衝撃的な言葉もちらほら。みずほが心の中でつぶやいた『開き直った男に言葉が通じないことくらい、この年になればもう知っている』は僕にとって強烈なパンチでした。わかってます。ほんとに、みずほさんは男という生き物をわかってます。これを言われたら男にはなすすべがないでしょう(笑)

 

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