【会計学ってどんな学問?】書評:さおだけ屋はなぜ潰れないのか?/山田真哉
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)
- 作者: 山田真哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/02/16
- メディア: 新書
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概要
タイトルでぐっと惹きつけられる人も多いかと思います。内容は会計学の入門書。著者の山田さんは公認会計士であり、会計をテーマにして他にも本を執筆されている方です。
おすすめポイント
とにかく、身近なものから会計学を語るということを徹底しています。会計学が何を扱っているのかを大まかに掴むことができると思います。
感想
私は会計学に触れたことがないのですが、相当難しい学問のようです。
『私の経験からいっても、会計はやはりむずかしいと思います。これほど敷居の高い学問はないと思っています。わかってしまうと簡単なのですが、わかるまでにかなりの労力を要します。 学者からも「会計は長いあいだ勉強をつづけていくうちになんとなくわかってくるタイプの学問だ」という話が出るくらいです 』
この本はあくまでも入門の入門といった感じで、なるべく簡単に説明しようというという心意気が伝わってきます。会計学が個人の生活にも活かせるというエピソードも豊富でした。そこから取っ掛かりを得られるかもしれません。個人的には、タイトルの「竿竹屋がなぜ潰れないか」や「住宅地になぜ高級レストランがあるか」など、企業のしたたかさにフォーカスした話が面白かったですね。
最後のまとめでは、会計の本質に迫る努力も見られます。
『私がこのあたりの会計を勉強していたときに感じたのは、「会計は氷山の水面に出た部分だけを見るのではなくて、水中につかっていて見えない部分も数字にする学問なんだなぁ」ということであった。』
実際、企業のお金は外から見えない部分でも動いているわけなんですね。そこを会計は捉えようとする。そういう営みなのですね。
『≪会計の本質的な考え方≫とは、目に見えないものを具体的に数字にして見えるようにする(「利益」「機会損失」など)、つなげたり違った角度から見たりして物事をシンプルにわかりやすくする(「連結」「回転率」など)-といった考え方のことです。つまり、「どうすれば物事を的確にとらえることができるようになるのか?」ということにチャレンジしつづけているのが「会計」という学問なのです。』
素人の僕からしてみると、公認会計士は企業の財務などを専門に扱っているというイメージです。しかし著者そういう次元を超えた立場から、会計のもっと深いところを見られておられるようです。物事をシンプルにわかりやすくする。会計学がそんな学問だなんて初めて知りました。