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ネットワーク的読書 理系大学院生がおすすめの本を紹介します

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【真の大人が許すことについて語る】書評:許す力 大人の流儀4/伊集院静

許す力 大人の流儀4

許す力 大人の流儀4

 

概要

 伊集院静さんのエッセイシリーズである「大人の流儀」の4冊目。エッセイなのでいろいろなことをテーマにした話が収められていますが、「許す」ということを全体のテーマとして掲げています。

おすすめポイント

 今回も大人な渋い世界を堪能しました。こんな大人になれたらいいなと憧れます。こういう一面を持った人になりたいです。当然ですがノウハウ本ではないので、「許せない人を許す方法」なんてものは書かれていませんし、「許すこと」について書かれたエッセイだけで構成されているわけでもないです。

感想

 どうしても許せないことがあったときどうするか、というのが1つのテーマになっていました。しかし僕自身、許せないほど腹を立てた経験はあんまりありません。まだまだガキだなぁと思いながら読んでいました。

『許せないものの大小はあろうが、誰もが許せないことに出逢い、それを抱えている。それが人間である。それが生きることであり、人生でもある。 許してあげたいと誰もが思うだろうが、その特効薬はない。だから私は、許せなくてもいいから、そのことであまり悩んだりせずに、許さないことをそのまま胸の中に置いて懸命に生きた方がいいと提案したい。 いつか許せる日は必ずやってくる。その時に必ず何かが身体の底から湧いてくる。許せないことも、許すことも生きる力になってくれると私は信じている。』

 伊集院さんのスタンスはこんな感じのようです。許せないことはきっとある。それを無理に許す必要はなくて、許せる日が来るまで待ってみよう、と。

『許せないのなら、私は許さなくていいのではないかとと思う。今日の午後、新たに許せないものと出逢っても、これは私には許せないナ、とつぶやきながらポケットに入れてしまえばいいのではないか。 大切なのは、許せないものをわざわざの目の前に引っ張り出して凝視しないことである。許せない自分がダメな人ではなく、皆それをかかえて生きていることを知ることである。いつか許せば、それはそれで生きる力になるのだろうが、許せないものも人のこころの中で何かしらの力になっている気がする。』

 許せないものと出会うことは必ずある。そんなとき、そればかりに拘らず、いったん置いておくことが大事。許すことで成長できるという側面もあるが、許せないものが人の心の中で何かしらの力になることもある。なんとなく納得できますが、僕が大したことを経験したことがない分、なかなか実感を持って捉えることは難しいです。

 「許す」とは関係ないですが、こんな文章も心に残りました。

『仕事にとって一番大切な情熱、誇り、個性がパソコンの中に隠れているはずがない。 世界を変える素晴らしいアイディア、そして誤りを発見し修正できる能力はすべて、人間の本能に近い部分から誕生する。朝から晩までパソコンの中にある情報、状況に身を置くことは間違いなのである。そんなものはコンピュータにさせておけばいいのである。 では肝心は何か? 五感で目の前の世界を読み、判断し、何をすべきかを決定していくことだ。』

 僕はIT業界に就職したいと考えています。世界をもっと良くしたいと思っています。世界を変える素晴らしいアイディアがパソコンの中にあるわけがない。確かにその通りだと思いますが、就職したらパソコンとにらめっこが続いてしまうかもしれないなと。

『文字を自分の手で書き、書きながら思考をくり返していき、壁にぶつかればそこでまた考え続ける。誰も引っ張っていってくれない行動の中にだけ、個性、次代をより良くする道への扉、鍵が隠れているのである。』

 自分の頭で突き進んでいった先にだけ、世界を変えるアイディアがあるのでしょうね。誰も引っ張っていってくれない、つまり外からの動機付けなしに働いていった先に、大きな成果が待っているのでしょうかね。