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【財布から未来を考える】書評:稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?/亀田潤一郎

稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?

稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?

 

概要

 著者の亀田さんは税理士。700人以上の経営者の財布を見てきた経験から導き出された、お金に好かれる生き方の法則を紹介する内容です。

おすすめポイント

 「長財布を使うだけでお金がたまる」という内容ではありません。財布のことを考える、ということをきっかけにしてお金の使い方を見直し、お金をもっとコントロールしようという前向きな内容でした。うさんくさいと思う部分もありましたが、全体的には著者の真摯な心意気が伝わってきました。

感想

 タイトルに惹かれて読んでみました。長財布の良さを滔々と語られるのかと思って読み始めましたが、そんなことはなかったです。いろいろとお金にまつわる話が展開されていますが、私が一番重要なものだと感じたメッセージがあります。それはお金と幸せに付き合っていくためには「お金をコントロールすること」が一番大事なんだということです。

『財布の中身が少なくて不安になる根本的な原因は、「お金がない」ことではないのです。その場その場で流されるようにお金を使ってしまい、自分のお金を自分でコントロールできず、先行きが読めなくなることにあります。それは、ほかでもない、コントロールするための自分なりの自分なりの哲学やルールをもたないままでいるからです。』

 その中で財布に注目するのは、やはりお金の出入り口であるからですね。

『自分の手元に入ってきたお金の動きというのは、自分の生き方そのもの。 意識するしないにかかわらず、お金を使うのは紛れもなく自分自身です。だからこそお金の出ていき方には、その人の考え方や判断基準、生き方そのものが映し出されます。』

 どうすれば賢くお金を使うことができるようになるのか。1つの案として、お金を使うときに「消費・投資・浪費」の3つのうちどれに当たるかを考える、ということが提案されています。

『消費とは、たとえば1万円のモノを購入したら、その場で即1万円の価値が手に入る使い方。「等価交換消費型」といわれる使い方です。』

『投資とは、払った金額に見合う価値のものがすぐに手に入るわけではないけれど、将来何かしらの見返りがあるような使い方。 企業ならたとえば設備投資、個人なら本を買う、勉強会に参加するなどの使い方です。』

『浪費とは、使ったら使いっぱなしで、何も手に入らず、将来的な価値を生み出さないような使い方です。会社でいえば仕事の憂さ晴らしの飲み代、個人でいえばゲームセンターに興じるような使い方です。』

 この3つの区分は極めて単純だなぁと思うのですが、普段の買い物からこれを意識しておくと、きっとお金にもっと気を向けられるだろうなと思いました。

 この本で著者が最終的に伝えたかったのは、「お金のことをもっとちゃんと考えよう」ということだと僕は解釈しました。そのためには、お金にもっと気を向けることが大事なわけです。将来に活きるお金の使い方をすることが大切です。普段の買い物のシーンにおいても、将来をイメージしてみることです。将来自分がどのようになりたいのか。それを心に思い描きながら生活すること。少し話が大きくてぼんやりしたものになりましたが、とにかく前向きに生きることが大事なんだろうと思いました。

 その足がかりが財布なのです。自分の財布にもっと気を配ることからすべては始まるのだ、というわけですね。胡散臭い部分もありましたが、著者の真摯な心意気は伝わってきました。なんだか元気をもらえる一冊でした。

 

お金に関連して、経済学のお話。

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こちらは財布の視点から語られる一風変わったミステリー。

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