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【恋は差別を打ち砕けるか】書評:GO/金城一紀

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概要

 金城一紀さんが直木賞を受賞した作品です。 主人公は在日韓国人の杉原。差別に苦しみながらも、一人の女性と恋に落ちる様が描かれます。

おすすめポイント

 在日の方々が理不尽に差別される現実を突きつけられます。しかし杉原の心は強く、桜井の心は美しく、彼らの恋愛は非常に爽やかです。すごく救われた気分になります。

感想

 在日朝鮮人在日韓国人に関して並々ならぬ問題があるのは知っていました。しかしこの小説を読み、国籍が少し違っただけでなぜ手酷く差別されなければならないのかと疑問を抱くようになりました。見た目はほぼ同じですし、日本で生まれていれば日本語ネイティブ。大きな違いなどないはずなのに。

 差別があるのは歴然たる事実です。だから読者は杉原の先の見えない未来を憂います。しかしその暗雲を晴らすかのごとく描かれる爽やかな恋。いつか現実が二人を引き裂いてしまうと予感がある。でも、彼らは出会ってしまったのです。その危うげな恋がまた、読者の心をとらえます。

もし自分の素性を打ち明けて嫌われたら、なんて思っちゃったから、ずっと打ち明けられなかったんです。彼女は差別をするような女じゃない、なんて思いながらも。でも、結局は彼女のこと信じてなかったんですよね・・・。俺、たまに、自分の肌が緑色かなんかだったらよかったらいいのに、って思うんです。そうしたら、寄ってくる奴は寄ってくるし、寄ってこない奴は寄ってこない、って絶対に分かりやすくなるじゃないですか・・・ 

 たぶん多くの読者がこの展開を無意識に予期するでしょう。でもだからこそ、二人の関係はとても好ましく見えますし、応援したくなります。そして杉原の葛藤を知っているからこそ、桜井と分かり合えなかった現実は僕らをも悲しませます。

 物語では結局ハッピーエンドとなりまして、すごく爽やかな読後感を味わえるのですが、この先二人がどういう苦難にぶち当たるかはわかりません。しかしひとつ確かなことは、二人がどういう人生を歩むことになっても杉原は桜井と出会えたことが大きな経験になったということです。在日だろうと、日本人と分かり合えることはできる。それを知ることができたということは、杉原にとって財産になるのでしょう。そういった、先の先まで想像させてくれるという点で、すごくいい小説だなあと思いました。 

 

 

 公安に追われる朝鮮人が出てくる物語です。 

 

 最近読んだ直木賞受賞作の中で、面白かったのはこれですかね。 

 

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