【飲み物で歴史を探索】書評:歴史を変えた6つの飲物 ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語る もうひとつの世界史/トムスタンテージ
歴史を変えた6つの飲物 ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語る もうひとつの世界史
- 作者: トムスタンデージ,新井崇嗣
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: 単行本
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概要
人類の歴史に大きな影響を与えた6つの飲み物を取り上げ、その1つ1つがどのようなインパクトをもたらしたのかを解説しています。
おすすめポイント
飲み物というユニークな切り口で歴史を探索するこの1冊。普段僕らが何気なく口にしている飲み物には、あんな歴史やこんな歴史が隠されていたのかと、とても興味深く読むことができます。
感想
知り合いからオススメされたので読んでみたのですが、まずタイトルを聞いた時点で興味をそそられました。「6つの飲料」とはなんなのだろうと。サブタイトルでネタバレしてしまっているのですが、未読の人にクイズを出してみるのも面白いと思います。
人は水を飲まねば生きていけません。飲み物は当たり前のように僕らの生活に溶け込んでいます。しかし、僕らの冷蔵庫に眠っている飲み物の歴史を丁寧にひも解いてみると、興味深い事実が積み重なっています。
何千年も前から先祖代々飲み続けている飲み物がありました。歴史を動かした飲み物がありました。時代を象徴する飲み物がありました。 普段の生活で、飲み物を見る目がちょっとだけ変わります。いま手にしているこの飲み物が、自分の手元に当たり前のようにあるということのすごさを感じるようになるかもしれません。
ユニークな切り口の歴史訪問であり、時間旅行であるとも言えます。本書で取り上げられる一番古い飲み物はビールであり、人間が定住型の生活をし始めるようになったとか、ピラミッド建設の時代にも飲まれた、なんて話からスタートするのです。 果ては、超大企業による地球規模での資本主義の争いの象徴としてのコカ・コーラまで。
やっぱり勉強って面白いなと思うんです。学校で勉強してきた歴史の授業と繋がったときに得られる快感。他の切り口の本があれば読んでみたくなりました。「歴史を動かし6つの大恋愛」とか絶対書けますよね。
過去を振り返るだけでなく、未来への問いかけで終わっているのもまた素晴らしいなと思いました。本書で取り上げられている6つの飲料に続く7番目の飲料は何になるでしょうか。
原点回帰と名付けられた最終章で、それは「水」だと指摘されています。今後、世界的な水不足が発生し、水を巡って戦争が起きることになるだろうと。なるほどと唸ってしまいますね。もとはといえば、清潔な水を確保するのが難しいからアルコール飲料などを仕方なく飲んでいた人間が、増えすぎた人口のために清潔な水を巡って命を奪い合うことになってしまう。なんたる皮肉。
人間は歴史から学ぶことができるはずです。だからこそ、この本のような歴史を振り返る論考には価値があるのだと思いました。
その他、歴史を振り返る論説。
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B. 大多数の人が面白いと思うはず/この作家さんが好きなら絶対読むべき作品
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