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【内なる言葉を磨け】書評:「言葉にできる」は武器になる。/梅田悟司

 

「言葉にできる」は武器になる。

「言葉にできる」は武器になる。

 

概要

 電通の有名コピーライターが、強くてキャッチーなコピーを書く技術を伝える一冊。小手先の技術にこだわるのではなく、自分の中にある「内なる言葉」に目を向けることが大事だと説きます。

感想

 著者が自分と同じ理系院卒ということで興味を持った一冊です。また最近仕事で企画を行う機会が増えたため、プレゼンする相手に響く言葉の使い方を勉強したいと思って読んでみました。

 キャッチコピーを作る上で、小手先の技術は重要ではなく、自分の中にある想いを外に出すというところに目を向けなければならないというのが論の中心でした。想いは自分が頭の中で発している「内なる言葉」に紐づいていて、それは話すことや書くことに用いる「外に向かう言葉」とは区別して捉える必要があるとのこと。「外に向かう言葉」ばかりに目を向けていても想いを伝える技術は向上せず、「内なる言葉」の解像度を上げていく作業こそが重要なのだと著者は言っています。

 ごもっともだと思いました。読みたくなる文章や心を動かされる言葉は強い想いから生まれていると僕も思います。ただ、肝心の「内なる言葉の解像度を上げるプロセス」の部分が自分にはピンとこなかったため、尻すぼみな読書体験になりました。

 解像度を上げるというのは、もやもやと頭の中で飛び交っている思考を鮮明にしていくことだと書かれています。それを行うために提示されているのが、よくあるアイディア生産のためのフレームワークに見えてしまいました。内なる言葉を深めようという趣旨だったのですが、結局はそういうところに帰結してしまうのだなあと思った瞬間に、この本を読み進める熱が冷めてしまいました。

 単に僕が求めていたものと違ったというだけで、この本が悪いと言うつもりは全くありません。刺さる人には刺さる本だと思います。主張の骨子には深く共感しました。

 

 

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