【書評】オー!ファーザー/伊坂 幸太郎
概要
「父親が4人いる」というお話です。その設定だけで気になってしまったので読みました。岡田将生さん主演で映画化もされましたね。
おすすめポイント
初っ端から伊坂さんらしさが全開でした。伏線が一気に回収される後半部分はもちろん楽しかったのですが、前半からすごく面白かったです。
感想
伊坂さんの書く、会話の掛け合いが大好きなんですよね。微妙に噛み合っていない感じとでも言いましょうか。笑ってしまいそうになります。「大腿骨」とか。「自己顕示欲」とか。
それでいて、たまにぐさっとくることを言わせたりするんですよね。今回は特に「苛め」の話です。「息子が将来、苛められっ子になるのと、いじめっ子になるのと、どちらかを選ばなければならないとしたら、どちらにするか」 「ある時、世界中の誰もが、自分の子どもに対して『他人を苛めるくらいなら、苛められる側に立ちなさい』と教えることができたなら、今の世の中の陰鬱な問題はずいぶん解決できる気がするんだ」などなど。ここはさりげなく書かれているけど、すごいことが書かれているような気がしました。
由紀夫はなんだかんだ言いながら、父親たちのことを信頼しているんでしょう。その信頼関係の描き方がすてきです。父親たちは由紀夫のことをホントに愛しています。かっこいいです。
ちょっと長いのが玉にきずなのかもしれません。僕は行き帰りの電車でちょっとづつ読む派なので、500ページも前の伏線なんて覚えてるわけがないです・・・。ほとんどすべてが伏線として回収されるので、気合を入れて読んでみてもいいかもしれません。
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