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【書評】四畳半神話大系/森見登美彦

 

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

 

 

概要

 舞台は京都。とある学生のパラレルワールドを1つずつ見ていく変わったお話。森見さんの作品の中で初めて映像化された作品だそうです。

おすすめポイント

 森見さんらしさ全開といった感じです。好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ハマると中毒性があります。

感想

 変わった構成なので下手をしたら飽きてしまいそうなんですが、森見さんらしい独特の文章が逆に引き立っています。占い師のくだりとか覚えてしまいそうでした。2話を読み始めたときは、何が起きたのかさっぱり分からなかったのですが、3話までくるとだいたい何がしたいかが見えてきます。そのうえで最後をどうやって締めてくるのかが気になってくるのではないかと思います。

 ラストは見事に締まります。すばらしいです。くだらない話のようで、最後の最後に大切なことを教えてくれるような気がします。日々は無数の決断の繰り返しで、無数の分岐点がある。でもどんな決断をしても変わらないこともあって、それが運命ってやつなんですかね。

 個人的には「もちぐま」がどうなったのかよくわからなかったのがちょっと残念です。森見さんの描く京都は不思議な妖しさがただよってきて、たまらないですね。