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本と本の意外な「つながり」ってありますよね

【そっちか!】彼女は存在しない/浦賀 和宏

彼女は存在しない (幻冬舎文庫)

彼女は存在しない (幻冬舎文庫)

 

概要

 次々と発生する殺人事件。その真相はいかに。ネタバレすると面白さが半減するので気を付けるべき作品です。

おすすめポイント

 仕掛けられたトリックは予想していたものに近かったのですが、その少し上をいくものでした。びっくりしました。

感想

 本屋でけっこう推されている作品なので読んでみたいなと思っていました。

 叙述トリックものなのかなぁと途中でうすうす感じます。なんだか罠が仕掛けられているきがするのです。ただ、二重人格を絡めると名前がまったく信用できなくなりますよね。その人格ごとに名前があるわけですから。それに、行動に一貫性がなくても二重人格が言い訳になりますし、もはや何でもありなのではないか、と。だから見破るのはほぼ諦めてました。

 そうするとただただ残酷な話が続くわけで、ちょっと読み進めるのがつらかったですね。

 しかし最後の種明かしには驚きました。仕掛けられたトリックはもっと大掛かりで予想の上をいくものでした。「そっちか!」と叫びそうになりました。自分が描いていたこのお話の根底を崩されます。

 叙述トリックの小説を読むたびに、固定観念というものは恐ろしいなぁと思い知らされますね。当たり前だと思って疑いもしないことがトリックに使われるわけです。

 ストーリーがひたすらに暗い分、スカッと騙されたほうが後味がいいかなと思いました。