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【滑って転んで殺人事件】書評:死亡フラグが立ちました!/七尾与史

死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)

死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)

 

概要

 貧乏ライターの主人公が「死神」と呼ばれれる殺し屋の謎を追うお話。噂によるとその「死神」とやらは、偶然を装って殺人を実行し、手を触れず、凶器すら使わずにターゲットを殺してしまうという。死神の正体とはいかに。

おすすめポイント

 死神の殺人スタイルが斬新で面白いです。そんなに上手くいくわけないだろうというツッコミは禁止ですかね。勢いに任せて物語が転がるのを楽しめる作品です。

感想

 バナナの皮で滑って転んで鉄アレイに頭をぶつけることを「仕組む」。そう聞くとありえないでしょって笑い飛ばしたくなると思いますが、この作品では探偵がそんな事件を大まじめに解決します。ただの偶然だろう。死神とやらはホントにそんなにすごいのか。

 様々に散らばらせた伏線を一本に集めていくストーリー展開はお見事です。複数の視点からバラバラに物語が進んでいきますが、徐々に一本に集まっていきます。そして結局すべて死神の手のひらの上だったことがわかる。死神ってやべぇじゃん。

 雰囲気がコミカル路線に流れそうなところを、ストーリー全体で上手く補っているような印象でした。上手いなぁなんて思いながら読んでいました。あくまでも登場人物たちは大真面目ですからね。その差も面白かったです。

 ただ、期待を裏切らなさすぎかなぁなんて思いました。本の中では死神は大勢の目を騙すことに成功しました。でも、読者にはバレバレなんですね。死神は誰なのか、という興奮はあんまりない。そこにもうちょっと工夫が欲しかったです。ネタを知っているマジックショーをみているような感じですかね。

 そして犯人の正体だけでなく、結末も普通に予想できるものでした。だいたいこんな感じで終わるんだろうな、という範疇を出ません。できれば最後にもうひと捻り欲しかったなぁなんて思いました。

 

 

こっちもびっくりなトリックです


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こっちは犯人が最後までわからなくてドキドキでした


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