【より少なく、より良く】書評:エッセンシャル思考/グレッグ・マキューン
概要
著者のグレッグ・マキューン氏はエッセンシャル思考を広めるべくコンサルティング会社を立ち上げた人物です。自身の経験と、多数の企業経営者にインタビューした結果をもとに、エッセンシャル思考の神髄を書き表した一冊となっています。
オススメポイント
胡散臭そうな名前ですが、エッセンシャル思考は非常に明快でわかりやすい考え方です。完璧に実践するのは簡単なことではありませんが、一読の価値はあると思いました。
感想
エッセンシャル思考について約300ページに渡り解説がなされています。本自体は少し分厚いですが、思想はとても簡潔に示されています。「より少なく、より良く」。多数のことにちょっとずつ手を出すよりも、本当に大切な1つのことに集中すべきという考え方です。
我々は数え切れないくらいの物事に囲まれていて、”重要そうに見えるもの”も非常にたくさんあります。その中から、本当に重要なものを見極めて、他はすべて切り捨てるべきだと著者は言います。
この考え方を実践するために必要なのが、「ノー」と言うこと。
絶対にイエスと言いきれないなら、それはすなわちノーである。
相手との関係を考えると、お願いされた事柄にノーを言うことはとても難しいことです。しかしノーを言う勇気を持ち、ノーを言う訓練を重ねていくべきだと書かれています。ノーを言えないとたくさんの瑣末なことに振り回される人生になってしまう。それは避けるべきだと。
ノーを言うと何かを失うことは確かです。意識すべきはトレードオフ。すべてを手に入れることはできません。何かを優先すれば、他の優先度は落ちます。見極める力が必要なのです。
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ソーシャルメディアで多くの人がつながっている現在、「みんながやっているからやる」というのはかなり危険である。世界中の他人の行動が見えてしまう状況でそんな基準を使っていたら、あらゆる瑣末なものごとに手を出すはめになってしまう。
僕はTwitterを見るのが大好きなので、この一節は染みました。2014年に書かれた本なのですが、2018年になってもSNSの勢いは衰えず、生活の一部になっています。自分にとって重要かどうかを冷静に見極める能力がますます大切になっていると感じます。
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300ページの中には、「遊ぶことも大事だ」とか「睡眠は大事だ」みたいな、よくある自己啓発本のようなことが書かれている章もあります。正直言って蛇足なのではと思いましたし、エッセンシャル思考を体現していないなあと思いました…。単に僕に響かなかっただけかもしれませんが。
重要でないと思ったところは読み飛ばすことも、エッセンシャル思考なのかなと勝手に思いました。
僕のオススメの本はこちらにまとめています。