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【新時代の企業戦略】書評:D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略/佐々木康裕

概要

 今までとは全く違うメーカーが現れている、ということを解説した1冊です。モノだけを作るのではなく、プロダクトにストーリーを作り、デジタルを駆使して販売戦略を組み立てる企業。Direct to Consumerを略してD2Cと呼ばれています。

感想

 自分のおさらいも兼ねて、本書から表を2つ引用します。

 

D2C企業と伝統的な企業との違い

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D2C企業と伝統的な企業の世界観の比較

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 正直に言うと、わかるような、わからないようなという感じなんですよね。これは著者が触れていますが、アメリカと日本の違いに起因しているのでしょう。

 アメリカではリーマンショックで世代が大きく分断されました。景気減速を理由に雇用に大きな影響が出たので、ミレニアル世代以下はお金がなく、今までとは違う倫理観を持っているとのことです。一方バブル崩壊を経験した日本では、リーマンショックでそこまで大きく雇用を絞らなかったので、目に見える形で世代の分断が起きていません。

 アメリカで新たに現れたミレニアル世代以下の人たちに刺さるのがD2Cのやり方です。日本ではまだまだ浸透していないのが実情だと思います。上の表を見てもイマイチピンときません。

 D2Cは価格が安価だと言いますが、日本は長らくデフレが続いているので、良いものが安く買える環境がずっと続いています。価格が優位性につながらないのでしょうね。

 

*****

 

 アメリカで流行ったものはやがて日本にもやってきます。D2C企業がアメリカでこれからも繁栄を続ければ、いずれ日本にもそのトレンドがやってくるでしょう。

 デジタルを主戦場にしてデータドリブンで経営を進めていくというやり方は、すでに日本でも取り入れられています。プロダクトそのものではなくライフスタイルを売るというやり方も、無印良品みたいな感じでどんどん浸透してくるのではないでしょうか。

 つまり、部分的に取り入れていくということになると思うんですよね。例えば、プロダクトにストーリーを付与するとはどういうことかを示した下記は参考になる考え方だと思うのです。

「プロダクトがコンテンツ化する」とは、「プロダクトがストーリーをまとう」ということだ。ストーリーをまとったプロダクトは、意味レベルの価値を持つ。そして、意味レベルの価値を持ったプロダクトは、機能レベルでの比較などされない。他のプロダクトとまったく違う価値を持ち、マーケットの中で、ユニークで絶対的なポジションを獲得することができる。

 アメリカとは違う形で、日本の企業にも徐々に変化が出てくるのだろうと思います。アメリカの事例を学んでおくことで、その変化を先取りすることができるかもしれません。そういう意味で、頭の片隅に置いておきたい内容だなと思いました。

 

 

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