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【引っ込み思案に読んでほしい】書評:内向型を強みにする/マーティ・O. レイニー

内向型を強みにする

内向型を強みにする

 

概要

 性格によってすべての人は内向型か外交型に分類され、両者に優劣などないと主張する一冊。引っ込み思案で自分に自信が持てない人にとくにおすすめです。自分は単に内向型の人間なだけで、人として劣っているわけではないのだと勇気をもらえる内容です。

おすすめポイント

 僕自身が典型的な内向型の人間なので非情に感銘を受けました。嫌いだった自分の性格が、単にそういう気質なのだと考えることで楽になりました。特に僕と同じような理系人間の方には多いと思いますので、読んでみてください

感想

 ①内向型と外交型の分類とは何か、②両者の違いを生むものは何か、③内向型の人間が生きやすくなるためのヒント、という順番に論が展開されていきます。とにかく序盤だけでも読んでみて、内向型という考え方があることを知ってほしいです。救われる人がたくさんいると思います。

 内向型/外交型を分ける一番大きな特徴は、エネルギーの蓄え方/消費の仕方だと本書では書かれています。

 以下は本書における内向型の人のエネルギーの傾向を説明した一文。

内向型の人のもっとも顕著な特徴は、そのエネルギー源である。内向型の人は、アイディア、感情、印象といった自身のなかの世界からエネルギーを得ている。彼らはエネルギーの保有者だ。外の世界からの刺激に弱く、すぐに「もう手一杯」という気持ちになる。これはイライラ、あるいは、麻痺に似た感覚なのかもしれない。

 逆に外向型の人を説明した一文。

では、外向型の人のもっとも目立った特徴はなんだろう?それは、外の世界、つまり、さまざまな活動や人や場所や物からエネルギーを得ている点だ。彼らはエネルギーの消費者なのである。長時間、のらくらしたり、自己反省したり、ひとりで、もしくは、ひとりの人を相手に過ごしたりすると、彼らは刺激不足におちいる。

 とにかくこの文章にすべては帰結します。自分はどういうときにエネルギーを充電できて、どういう時にエネルギーを消費してしまうのか。それを知るだけでぐっと生きやすくなると思いました。

 大学院生として日々研究に励んでいるときは、朝から晩まで根を詰めて研究をしていても、心地よい疲労感を覚える程度でした。それが社会人になると、実働時間は研究をしている時よりも短いにも関わらず、家に帰ってきたときに凄まじく疲弊してしまっているのです。

 これはなぜかと考えると、研究はひとりで自分の内側の世界に没入していく作業であること(自分の内側に潜っていくこと)に対して、仕事は大勢の人に囲まれながら、分担作業とコミュニケーションで進めていくもの(外からの刺激を受けながら活動すること)であるからだと考えることができます。研究は僕のような内向型の人間の得意分野ですが、仕事はそうではないのです。

 でも、僕は今の仕事が好きです。なるべく円滑に楽しく仕事を進めていくためには、自分のエネルギーの状態を理解することが必要だと思いました。「今日は初対面の人にたくさん出会うのでエネルギーを消費しがちな一日になる。だから一人の時間を意識的に作ってエネルギーを補充しながらこなしていこう。」といった風に。

 内向型の人間の特徴は、下手をすると人間として何か欠落があるのではないかと疑ってしまうものだと思います。でも、そうではありません。内向型の人間が苦手なこともあれば、得意なこともある。単に違いがあるだけなのです。それを知るだけでも、読んだ価値がありました。

 

 

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