【お金の時代は終わるかも】書評:お金2.0 新しい経済のルールと生き方/佐藤航陽
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
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概要
メインテーマはシンプル。テクノロジーによって資本主義は価値主義に移行していくという提言でした。斬新な考え方を中心におきつつ、暗号通貨を含めた最新技術のトピックスをわかりやすく解説していく1冊。
おすすめポイント
お金というものの歴史を紐解きつつ、お金がそこまで重要なものではないと気付かせてくれる1冊。もしかしたらお金というものは僕が生きているうちに役目を終えるのかもしれない。わくわくする未来を想像させてくれました。
感想
長い歴史の中で見てみると、お金はそもそもけっこう新しい概念で、人間がそれを使いこなすようになってから長い年月が経っているとは言えない。そんな説明がまずは印象に残りました。
お金の代わりになるポテンシャルを秘めた技術として、仮想通貨が紹介されています。仮想通貨は、既存のお金を仕事にしている人ほど理解しにくい概念であると言います。
新しいものが出てきた時に、それに似た業界の前提知識があると、その知識に当てはめて新しいものを見てしまう傾向があります。しかしそれは危険です。仮想通貨も既存の金融業界の人ほど理解に苦しみ、全く前提知識のない若者や一般の人のほうが自然に受け入れて使いこなしています。
既存のお金に慣れ親しみすぎると仮想通貨の本質を見誤ることになる、と。
また、年齢によっても新しい技術に対する姿勢が変わってくるとの主張もありました。これも面白い。
イギリスの作家ダグラス・アダムスが生前に面白い言葉を残しています。人間は、自分が生まれた時にすでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものに感じられる。
僕はいま15歳から35歳の間なので、仮想通貨のテクノロジーはエキサイティングなものとして見ています。拒絶しないだけそれは幸運なことですが、自然な世界の一部とはとらえられない運命にあります。それをきちんと認識し、仮想通貨に向き合っていきたいと思いました。
仮想通貨もお金も単なる道具、ツールです。
一方で、お金をうまく扱えず困っている人ほど、お金に特別な感情を抱いていることが多いです。私もそうでした。それがないことによって起きる困窮や不安から、お金に感情をくっつけてしまい、道具以上の意味を感じてしまいがちです。お金や経済を扱うためには、お金と感情を切り離して1つの「現象」として見つめ直すことが近道です。
お金に感情をくっつけてしまっている。これは目からうろこの考え方でした。お金はあくまで道具。それはわかっているのですが、なくてはならないものと捉えてしまって、異常に執着してしまっている自分がいます。気を付けなくては。
アインシュタインがこんな言葉を残しています。空想は知識より重要である。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。大切なのは、疑問を持ち続けることだ。神聖な好奇心を失ってはならない。
これは素敵な言葉だなと思いました。理系出身の人間として、そしてゲーム会社に勤めている人間として心に刻み付けたいです。想像力は世界を包み込む。僕らは自分が考えている以上にすごいことを想像することができるはずです。
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