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【人材管理の最先端】書評:NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く/パティ・マッコード

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

 

概要

 NETFLIXで長年人事の役員を担当されていたパティ・マッコード氏が、同社の人材管理や企業文化について解説した一冊です。

おすすめポイント

 今世界で最も伸びている会社が、どんな考え方をもって人材を管理しているかが書かれています。真似しろと言われても難しいと僕は思いました。でも、少なくとも彼我の距離を知っておくだけでもためになると思います。

感想

 企業側が社員をすぐに解雇する、解雇されたらすぐに次の就職先が見つかるというシリコンバレーの雇用の流動性の高さが前提にあるため、日本企業のサラリーマンである自分が読むと、その環境の差に愕然としてしまいます。こんなにも、前提からして違うのだと。

 雇用に対する考え方がこんなにも違うのだから、日本がシリコンバレーになるのは当然無理でしょう。例えばNETFLIXでは有給休暇制度を廃止して、社員の裁量で勝手に休んでもらうようにしたと書かれていましたが、日本では有給の取得義務が最近強化されたばかりですよね。

どちらかが間違っているというわけではないでしょう。そもそも向かっている方向が違うんですよね。シリコンバレーを目指すのは諦めようよと言いたくなる内容でした。シリコンバレーが最良というわけではないはずなので。

 

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 NETFLIXの企業文化は個人的にはとても好きだなと思いました。企業側も従業員側も、徹底的に真摯に正直にあれ、という企業文化はとてもすてきだなと思います。会社の重要な決定は従業員に知らされないとか、日系でなくても大きな企業ならよくあること。

 仕事における最大の報酬は、大きな事業の成功に貢献した達成感であるというのもとても分かります。自分の人生の大部分を費やしていることなのだから、そこで何かを成し遂げたい。もちろん給与は大事ですが、もっと大きな生きる意味という観点でも、仕事での成功は大事だと思うのです。

 自分の仕事に関連することなら、モチベーション高く勉強できる人が多いでしょう。飲み会よりも勉強会の機会を提供していると書かれていましたが、これも至極まっとうな姿勢だと思うのです。

 仕事に対する価値観は少しずつ変化していると思います。その変化に正しく適応している企業の姿だなと思いました。

 

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 会社の将来の事業内容に合っていなかったり、スキルが足りていなかったりして、スパーンと解雇されてしまうシリコンバレーの企業で働いていると、落ち着いて仕事ができるのだろうかと思ってしまいます。その点では自分はいまのぬるま湯の方が、精神衛生に良いなと思っています。

 いつでも解雇されてしまうという危機感を持っているのなら、目の前の仕事にもっと必死に取り組むでしょうし、再就職のためにもスキルを磨いておかねばと思うに違いありません。常に尻に火が付いた状態で、働き続けることになるのだと思います。

 そういうタフな働き方に耐えうる人たちだけを集めれば、きっとすごいことが成し遂げられるでしょう。ハイパフォーマーとはそういう人たちのことを言うのではないかと思います。僕には難しいかもしれない。

そんな修羅に耐えられる人は多くないのだと思います。一長一短で、正解などないのでしょう。結局は、どんな会社を作って、何を成し遂げたいのかで、人材管理の方法も変わってくる。そういう当たり前のことを再認識しました。

 

 

 

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