【経営戦略の名著】書評:企業参謀―戦略的思考とはなにか/大前研一
概要
大前研一さんの名著。何度も改定を重ねられています。初期の部分は1975年に書かれたということで、実に40年以上も前なのですが、全く色あせない面白さがあります。
おすすめポイント
難しい内容のはずなのに、不思議と簡単に読めてしまうのがすごいところです。僕は経営に直接かかわったことはないのですが、意外と内容が理解できるものだなと驚きました。著者の技量の高さを思い知ります。
感想
「企業経営を戦略的に考える」というテーマは、ものすごく需要がある一方で、会社ごとに状況が全く異なるため、一般化しにくいと思っています。経営戦略を助けることを仕事としているのがコンサルティング会社であるわけで、大前さんはマッキンゼーで働いていた中で得た知識をわかりやすく解説してくれています。いろんなノウハウがあるのだなあと勉強になりました。
戦略的思考とは何かということを突き詰めた、次の一文が心に残りました。サラリーマンとして求められる技量そのものだと思います。
私が戦略的思考という場合には、戦うときと退くとき、また妥協の限界を常に測定しながら、究極的には、自分にとって最も有利な条件を持ち込む、柔軟な思考方法を指している。状況の変化によって、最も現実的な解を導き出せる頭脳の柔軟さを指す。白か黒でないと、考えられないというような硬直した頭ではなく、どのくらいの灰色までなら妥協してもよいかを判断できる人物が戦略的思考家である。
いろいろなトピックについて書かれていますが、PPM(Product Portfolio Management)については多くの紙面が割かれていて、知識ゼロだった自分もだいぶ理解が深まりました。そんな業態であっても、どの製品にどのぐらいのリソースを投入すべきかというのは最重要の検討課題なので、こういうフレームワークを知っていると役に立ちそうだなと思いました。
いろいろなことが網羅的に書かれている本ですが、ここに書かれていないことはなにかを考えるのも面白いかもと思いました。この本が書かれた当時は、ソフトウェア産業がまだ発達していなかったのですね。マイクロソフトやGoogleなどがまだ出現していない時代。ソフトウェアは材料や原価をあまり考えないため、ゲームチェンジが起きた事例ですよね。企業を経営していくという本質においては、あまり変わらないのかもしれませんが。
その他ビジネス関連の本。
僕のオススメの本はこちらにまとめています。
B. 大多数の人が面白いと思うはず/この作家さんが好きなら絶対読むべき作品