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本と本の意外な「つながり」ってありますよね

【交錯する過去と現在】アヒルと鴨のコインロッカー/ 伊坂 幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

 

概要

 伊坂さんの5作目の長編作品だそうです。どちらかと言うと初期の作品の部類に入りますが、伊坂さんらしさあふれるミステリーだと思いました。濱田岳さんと瑛太さんのキャストで映画化もされています。

おすすめポイント

 現在と過去を行ったり来たりし、たくさんの謎が序盤から提示されます。変な登場人物が現れて、初っ端から引き込まれまれるこの感じは伊坂さんらしいお話ですね。なんとも言えない、優しい雰囲気。そして徐々に明かされる事実と、少し予想外のラスト。最後まで楽しませてもらいました。 

感想

 過去と現在のお話がだんだんとつながっていきます。「この言葉はさっきも聞いたな」という場面がちらほらと登場します。物語の最後には、きっと全部明らかになって、しかも伊坂さんらしくハッピーエンドで終わるんだろうな。途中までは、そんな感じで読んでいました。

 しかし終わりがちょっと意外でした。最後は強引にハッピーエンドに持って行くと思ったのですが。予想外でしたが、しんみりとする終わり方もいいですね。ラストシーンのなんとも言えないあの雰囲気は好きです。

 トリックもなかなか鮮やかなものでした。過去と現在で共通のワードを出しているのですが、それが目くらましになるおような使い方でした。お見事です。毎度のことですが鮮やかに出し抜かれました。

 読み返したらいろいろ発見があるタイプの構成をした本だと思います。河崎の「かわ」はどっちの漢字を書くか、と最初の最初で出すあたり、ニクイですね。

 登場人物も相変わらずキャラが立っていてすてきです。1つ大きな謎として明かされなかったのは河崎が何を考えていたかでしょうか。罪の重さに耐えられなくなったのでしょうか。それとも本当に好きだった琴美がいなくなったからでしょうか。そのあたりに想像の余地があるのも素晴らしいところですね。

 

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