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【書評】アラスカ物語/新田次郎

 

アラスカ物語 (新潮文庫)

アラスカ物語 (新潮文庫)

 

 

概要

 新田次郎さんの作品。アラスカに生きるエスキモーの一族を救った1人の日本人の偉人伝です。出版されたのはすごく前ですが、友達がおすすめしてくれたので読んでみました。

おすすめポイント

 偉人伝であり、ノンフィクションです。しかし主人公の波乱万丈な人生と、アラスカの大自然の迫力ある描写が合わさって、そこら辺のフィクションよりずっとワクワクドキドキします。冒険心をくすぐられる感じがすてきです。 

感想

 まったく古さを感じさせないなぁと感じました。新刊だよって言われてもそんなに違和感がないと思います。偉人伝だからいつ書かれても関係ないじゃないかと言われたらその通りなんですが。いつまで経っても色あせない文学というものの素晴らしさを実感できるんじゃないかな、と思います。

 自然とともに暮らす原住民の暮らしぶりや、生身の人間が自然の脅威とどのように戦ってきたかが、かなりリアルに描かれています。そこだけ読んだとしても十分面白いです。

 でも何より主人公の功績がすばらしいです。エスキモーを救うために自分のすべてを投げうちます。なぜそこまでするのかと何度も思いますが、けっきょく主人公の本心はよくわかりません。

 人間その気になればとんでもないこともやれるんだなぁと思いました。根気強さとはまさにこのこと。同じ日本人であることを誇りに思います。