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【書評】風の中のマリア/百田 尚樹

 

風の中のマリア (講談社文庫)

風の中のマリア (講談社文庫)

 

 

概要

 『永遠の0』の百田尚樹さんの本です。主人公はオオスズメバチ。すべてオオスズメバチの視点で描かれる、個性的な作品です。

おすすめポイント

 壮大な自然の営みの中の、単なる1ピースであるハチが何を考えて生きていくか。人間も単なる1ピースのはずなんですが、僕らは到底考えないだろうなってことを主人公は考えます。哲学の域だなぁと思いました。

感想

 オオスズメバチの独特の社会性や、子孫の残し方などがわかりやすく書かれています。かなり詳しく調べてあって、勉強した気分になります。レベル的には高校の生物の授業を少し超えるぐらいで、生物専攻じゃあい人は知らないであろう知識なのではないかと思いました。

 「独特の社会性」というものがあるから、この作品は面白いものとなっているのだと思います。ハチにはそれぞれ役割が明確にあるのです。そしてそれにプラスして、主人公の心情が描写されることによって、社会の中での自分の役割を考える主人公の姿が描き出されます。なかなか深い話だぁと思いました。

 虫たちの決闘は臨場感があって、小さな世界ながらとてもおもしろかったです。しかし個人的には、先が気になって仕方がないと思わせるような、ストーリー性がもう少しあった方が嬉しかったです。ハチの一生にそこまで要求するのはムリなのかもしれませんが。

 

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