【2つの大人の戦い】空の中/有川浩
概要
「海の底」「塩の街」と並ぶ、いわゆる自衛隊三部作の1つ。謎の飛行物体との遭遇、そして戦いを描きます。
感想
高知の少年たちと岐阜の自衛隊員がダブルの主人公として活躍します。自衛隊員が未知の生物や外部の組織との頭脳戦を戦う一方で、少年たちが戦うのは自身の葛藤。大人の戦いと、大人になるための戦いという感じでしょうか。どちらも読み応えがあります。
おすすめポイント
大人な戦いだなぁという印象を受けました。「海の底」では子供が主人公格で登場するのでその対比として感じてしまうのかもしれませんが、それでもやはり空の中は大人なイメージですね。海の底で子どもたちの振る舞いにちょっぴりイライラした方も、こちらはストレスなく楽しめるのではないでしょうか。舞台設定は海の底よりもさらにぶっ飛んでいますが。
鍵となってくるのがまっさらな心を持つ生物兵器。いろいろな作品で論じられてきたテーマなのかもしれませんが、深みのある話題ですね。こうすればすべてOKという最適解があるわけでもないですし。
お得意の恋愛も炸裂してます。現実でこんなこと言うのかってこともありましたが、有川さんが書くのなら甘んじて受け入れようという気になってしまいますね。ちらっと聞いた話によると『クジラの彼』にスピンオフが書かれているそうですね。いつか読んでみたいものです。
大人な戦いとは言ったものの、複雑で難解なわけではないですし、とても読みやすいです。有川さんの書く作品は人物がわかりやすいですからね。登場人物のキャラクターをつかみやすいということが読みやすさにつながっているのではないでしょうか。
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