【書評】「黄金のバンタム」を破った男/百田 尚樹
概要
『永遠の0』の百田尚樹さんの作品。「黄金のバンタムを破った男」である一人の日本人ボクサーの生き様を描いたノンフィクションです。
オススメポイント
解説にある通り、ボクシングを通して戦後から立ち上がる日本の姿がぼんやり見えてきます。ボクシングの歴史を追ってきたと思ったら、それが日本の歴史と重なってくるのです。
感想
ノンフィクションだから話の筋がぼやけたように感じるところもありました。ふと気を抜くと、話がどこへ向かっているのか分からなってしまう。いろんなボクサーがいて、歴史を作ってきたんだよってことが伝わってきますが、その反面、けっきょく「黄金のバンタム」を破った男って誰なのさ?と途中までは思いながら読んでいました。もちろん途中で登場しますし、ノンフィクションである以上しょうがないことだと思いますが。
ボクシングの試合のシーンは引き込まれます。どっちが勝つんだろうって手に汗握ります。さすが百田さんです。
あと、減量の過酷さを初めて知りました。ボクサーって大変なんですね。他の競技でも体重の維持には気を使うだろうけど、意図的に平常時より10キロ近く減らすなんて考えられない。
当時のボクシングはテレビ放送をすると視聴率が50%を超えていたそうです。ボクシングの人気は今とは比べ物にならなかったようですね。百田さんのボクシングへの情熱はびりびり感じますが、日本のボクシングは今後どうなっていくのでしょうか。
亀田兄弟が世間を騒がせたり、ロンドンオリンピックで村田選手が金メダルをとったりと、そのぐらいすごい話題じゃないとなかなか僕らの耳には入らなくなってきました。そんな中でこの作品が有名になることが多少なりとも、ボクシング関係者の助けになっていくのではないでしょうか。つくづく、作家さんっていい仕事だなって思ってしまいます。
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